水に関わる言葉

水に関わる言葉


 このところ、暑いですねー…
ってことで、涼し気に水に関わる言葉を集めてみました。
少しでも、涼しい気分に慣れればこれ幸い。


■村雨 むらさめ
 響きが好み。雨後の情景が、穏やかな風景画目に浮かぶような。
群雨、叢雨とも書く。

■遣らずの雨 やらずのあめ
 帰って欲しくない誰かを、自分の元へ引き止めるように
降り出す雨のこと。降らせてみたいもの。

■空知らぬ雨 そらしらぬあめ
 涙のこと。

■玉響 たまゆら
 不思議な響き。元の意味は、玉が触れ合うときのかすかな様子。
ほんのわずかな間という意味もある。はかなさ、かすかさを表し、
草の上に露が置くさまをいう。

■打ち水 うちみず
 夏の夕方、西日がさす頃、家の前に水をまくのが仕事だった。
虹を作ったり、半分以上遊びだったけれど。
あと、祖母が水をまく様子も覚えている。
飼っていた猫が寄ってきたりして、楽しい一時だった。
茶席の客迎えの作法でもあるそうな。

■瀬見 せみ
 川底が見えるほど浅い川のこと。家の近くの用水路、
ちびだったころ、ザリガニを捕まえたりして、よく遊んだ。
今では、ザリガニの姿も見えず、遊ぶ子供の姿もないように思える。
けれど、変わらず、近くのおばさんは洗濯をしたり、
すいかを冷やしたりしてたっけ。

■早瀬 はやせ
 急流のこと。何もかもを押しながしてしまう激しさは、
恋に例えられたとか。
出来れば、そういう恋は遠慮したいかなと。

■螢川 ほたるがわ
 
小さい頃の記憶。
 夜、どこか遠くの山奥に行って、じっと息をひそめていると、
まわりに数え切れないほどの螢が飛び回っていた。
手を伸べてそっと捕まえて、母が作ってくれた、竹の虫籠に入れ、
来るまで家に帰ってくる間ずっと眺めていた。
家の近くにも、こんなに螢がたくさん、いるといいのに。
そんなことを言っていたような…。その後螢がどうなったか、
覚えていないけれど、多分、死んでしまったのだろうと思う。
 螢がたくさんすむ川を、螢川という。

■垂水 たるみ
 山肌から放り出された水流が、地を離れて空中を垂直に
落下するもの。地肌を接する滝とは、昔は区別されていた。
 去年の今頃、いや、秋口だったか、夜中に滝を見に行った。
ずいぶん離れたところなのに、轟音と水しぶきが時折届く。
ずいぶん涼しかったが、そこが自殺の名所と聞いたため、
だったかもしれない。

■海原 わたのはら
 好きな短歌、と言うか、覚えているのもがひとつ。
わたのはら ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも
だったかな?うなばら、と読んでも良いけど、こっちのが好き。

■兎波を走る うさぎなみをはしる
 月の光が水面に写って美しいさまを言う。
波が少し高い日に、白波が立つことを、昔父が兎が走ると呼んでいた。
少し天気の崩れた昼下がり、何故か海沿いを、あてもなく
ドライブしていたときに教わった。
そのことかと思えば、ちょっと違うようで。
白波をこう呼ぶのは、アイヌ語起源か、兎跳ぶと言うらしい。


最近あまり、聞かなくなった言葉を集めてみた。
何だか、言葉が名前が減ると言うのは、存在の消失のようで、
少し寂しい。



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